サイバー攻撃や不正アクセス、情報流出のニュースを目にする機会が増えました。企業や行政の問題に見えても、普段使うメールや通販のアカウントも無関係ではありません。僕も、ニュースを眺めて終わりにせず、身近な備えを見直すきっかけにしたいと思いました。まず手を付けたいのが、毎日使っているiPhoneです。今回はApple公式の設定画面を交えながら、アカウントの乗っ取りや紛失・盗難に備えて点検したい8つの項目を整理します。
不正アクセスのニュースを、身近な備えにつなげる
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、個人向けの脅威として、インターネットサービスへの不正ログインや、フィッシングによる個人情報の詐取などが挙げられています。会社のシステムへの攻撃だけでなく、身近なアカウントも狙われる対象です。
iPhoneの設定だけで、企業側の情報流出を防ぐことはできません。それでも、パスワードの使い回しを減らし、認証を強め、端末の更新を止めないことで、自分の被害を抑えるための備えはできます。企業への攻撃を見て不安になるだけでなく、自分で変えられる部分を点検したいところです。
時間がなければ、まず更新・2ファクタ認証・パスワードの使い回しから。以下は2026年10月25日時点のApple公式案内をもとにした手順です。画像はAppleが公開している画面例で、僕の端末での実測・検証結果ではありません。iOSや機種によって表示が異なるため、項目が見当たらないときは「設定」内の検索も使ってください。
1.iOSの更新を後回しにしない
開く場所:設定 → 一般 → ソフトウェアアップデート
まず確認したいのは、自分のiPhone向けに提供されている更新が残っていないか。新機能に興味がなくても、アップデートには安全性に関わる修正が含まれます。大きな更新の前には、バックアップの成功日時も確認しておきます。
続いて「自動アップデート」を開き、iOSの「自動インストール」を確認。自動適用を使う場合はオンにし、夜間に充電とWi-Fi接続ができるようにします。自動ダウンロードだけでは、インストールまで済むとは限りません。

対応するiOSでは、設定 → プライバシーとセキュリティ → バックグラウンドセキュリティ改善 → 自動インストールも確認します。通常のOS更新とは別に、Safariなどの一部の構成要素へ小規模な修正を届ける仕組みです。項目がない場合は、使っているiOSの案内に従ってください。
2.Apple Accountの2ファクタ認証と登録情報を確認する
開く場所:設定 → 自分の名前 → サインインとセキュリティ → 2ファクタ認証
Apple Accountは、写真やバックアップ、端末を探す機能にもつながる大事なアカウントです。2ファクタ認証が有効か、登録された信頼できる電話番号を今も使えるかを確認します。パスワードに加えて確認コードなどを使うため、パスワードだけが漏れた場合の備えになります。

「設定 → 自分の名前」の下部にあるデバイス一覧も見て、心当たりのない機器がないか点検します。自分で始めていないサインイン要求は承認せず、確認コードを他人に伝えないことも大切です。なお、盗まれた自分のiPhoneを「探す」から削除するとアクティベーションロックが解除されるため、不明な機器の整理と盗難時の対応を混同しないようにします。
3.「パスワード」で使い回しと漏洩の警告を点検する
開く場所:パスワードアプリ → セキュリティ(iOS 18以降)
ここでは、複数のアカウントで使ったパスワードや、推測されやすいもの、既知の漏洩データに含まれるものを確認できます。「設定 → アプリ → パスワード」の「漏洩の危険があるパスワードを検出」も確認。警告がないことは、すべてのサービスが安全だという証明にはなりません。

見直す順番は、メール、金融サービス、よく使う通販などから。特にメールを奪われると、ほかのサービスのパスワード再設定に悪用されかねません。同じものを使っていたら、サービスごとに異なる強力なパスワードへ変えます。変更は、保存済みの公式アプリや、自分で開いた公式サイトから行いましょう。
対応サービスなら、偽サイトに認証情報を渡しにくいパスキーへの切り替えも候補です。パスキーに非対応でも、各サービスの二段階認証・多要素認証を確認します。Apple Accountの2ファクタ認証をオンにしても、銀行や通販サイトの認証がまとめて有効になるわけではありません。
4.パスコードと「盗難デバイスの保護」を見直す
開く場所:設定 → Face IDとパスコード(またはTouch IDとパスコード)
誕生日や同じ数字の繰り返しなど、推測されやすいパスコードは避けたいところ。「パスコードを変更 → パスコードオプション」では、カスタムの数字や英数字も選べます。Face IDやTouch IDを使っていても、パスコード自体を知られない工夫は必要です。
さらに「盗難デバイスの保護」がオンかを確認します。iOS 17.3以降で利用でき、一部の操作に生体認証を必須にしたり、Apple Accountのパスワード変更などに通常1時間の待機を設けたりする機能です。すべての操作が1時間待ちになるわけではありません。

保護を適用する条件では「常に」も選べます。自宅などでも追加の保護を求めたい人向けですが、自分が重要な設定を変えるときにも待機が必要になる場合があります。利用には2ファクタ認証、パスコード、生体認証、「探す」、「利用頻度の高い場所」などの設定が必要です。
5.「探す」を紛失する前に有効にする
開く場所:設定 → 自分の名前 → 探す → iPhoneを探す
「iPhoneを探す」に加え、「“探す”ネットワーク」と「最後の位置情報を送信」も確認します。前者はオフライン時に見つける手掛かりとなり、後者は電池残量が少ないときに位置情報の送信を試みます。通信状況などに左右されるため、いつでも必ず見つかるという保証ではありません。

なくしてから有効にすることはできません。今のうちに別のApple製デバイスの「探す」や、iCloudのデバイス検索への入口も知っておくと、紛失時の初動を取りやすくなります。
6.ロック画面に見せる情報と操作を選ぶ
開く場所:設定 → 通知 → プレビューを表示
メール本文やメッセージを周りから見られたくないなら、ロック解除後にだけプレビューを表示する選択肢を検討します。iOSによって「ロックされていない時」など表記は異なります。通知の到着は把握しつつ、内容を隠すための設定です。

次に「設定 → Face IDとパスコード → ロック中にアクセスを許可」を確認。「メッセージで返信」や「コントロールセンター」など、ロック解除前に使える機能を選べます。オフにすると自分の操作にもひと手間増えるので、必要なものを選びます。コントロールセンターを制限しても、電源を切る行為まで防げるわけではありません。
7.アプリに渡した権限と、不明な設定を確認する
開く場所:設定 → プライバシーとセキュリティ
写真、連絡先、位置情報、マイク、カメラなどを順に開き、今もそのアプリに許可する理由があるか見直します。使わなくなったアプリの許可や、必要以上に広い写真・位置情報のアクセスは整理したいところ。権限を絞ると使えない機能もあるため、用途に合わせて調整します。

「設定 → 一般 → VPNとデバイス管理」も確認します。構成プロファイルは、通信や端末管理などの設定をまとめたもの。会社・学校や通信サービスで必要な場合もあるため、見慣れない名前だけで削除せず、発行元と用途を確かめます。
併せて「設定 → アプリ → Safari」の「詐欺Webサイトの警告」をオンに。これですべての偽サイトを判別できるわけではないので、「至急、認証が必要」というSMSやメールが届いても、そのリンクを入口にせず、公式アプリから確認する習慣と組み合わせます。
8.バックアップは「オン」より成功日時を見る
開く場所:設定 → 自分の名前 → iCloud → iCloudバックアップ
「このiPhoneをバックアップ」がオンかを確認し、最後のバックアップ日時を見ます。容量不足などで失敗し続けていたら、設定がオンでも備えとしては不十分です。必要ならWi-Fiにつなぎ、「今すぐバックアップを作成」を実行して、完了を確かめます。

画像にある「モバイル通信経由でバックアップ」は、通信量や契約プランに応じて選ぶ項目です。また、iCloudに同期済みの写真などはiCloudバックアップとは別に扱われます。大切なデータは、何が同期され、何がバックアップに含まれるかも確認しておきたいところです。
アカウントに入れなくなった場合に備え、「設定 → 自分の名前 → サインインとセキュリティ → 復旧用連絡先」も候補になります。信頼できる家族などに復旧を手伝ってもらう仕組みで、相手に写真やアカウントの中身を見せる設定ではありません。
全部を一度に変えるより、まず大事な入口から
僕が今回の見直しで重視したいのは、「安全そうな設定を全部オンにする」ことより、更新を止めず、認証を強め、漏れたパスワードを使い続けないことです。次に紛失・盗難への備えを整え、戻せるデータがあるかを確かめます。
もし身に覚えのないログインや取引に気づいたら、一般的な設定の点検だけで済ませず、該当サービスの公式窓口や案内に沿って対応してください。普段の備えは、気になる項目を一つ直すところから。大きなニュースを、自分のiPhoneを開くきっかけにできればと思います。
参考リンク
- IPA:情報セキュリティ10大脅威 2026
- Apple:iPhoneやiPadをアップデートする
- Apple:バックグラウンドセキュリティ改善について
- Apple:Apple Accountの2ファクタ認証
- Apple:Apple Accountにサインインしているデバイスを確認する
- Apple:安全性の低いパスワードまたは侵害されたパスワードを変更する
- Apple:パスキーを使ってウェブサイトやアプリにサインインする
- Apple:iPhoneの盗難デバイスの保護について
- Apple:iPhone、iPad、Macで探すを有効にする方法
- Apple:iPhoneのロック画面から機能にアクセスする
- Apple:iPhone、iPad、iPod touchでパスコードを使う
- Apple:プライバシーと位置情報サービスについて
- Apple:構成プロファイルを確認する・削除する
- Apple:Safariでポップアップ広告やポップアップウインドウをブロックする
- Apple:iCloudでiPhoneやiPadをバックアップする方法
- Apple:iPhoneやiPadのバックアップ方法
- Apple:Apple Accountの復旧用連絡先を設定する
- Apple:iPhoneが盗まれた場合の対処法
- Apple:iPhoneでパスワードを使用する
- Apple:iPhoneやiPadで通知機能を使う
- Apple:Apple Accountのパスワードを変更する(設定画面の出典)